生活

派遣の契約期間が2か月だと社会保険に入れない?【結論:可能な場合あり】

2019年8月3日

派遣の仕事に就業の際、初めの契約期間が二か月未満で、派遣会社が社会保険に入れてくれない、という状況に陥った時の体験を書きます。※結果:入れた)

後半には厚生労働省に直接質問した際の回答も書きました。(2022年秋に法律が改正され問題が解決されるようです)

1. 派遣社員ははじめ社会保険に加入できない?

2019年半ば、新しい派遣の仕事に就業することが決まった時のことです。(単発ではなく1年以上は続く事務系の仕事です)

派遣会社の担当営業から「1回目の契約期間が2か月未満※なので、その間の健康保険・国民年金は自身での負担となる」言われました。雇用保険のみ勤務開始日から加入できるとのことでした。

社会人になってからこれまで数社、正社員・契約社員・派遣として週5フルタイムで働いて来た中で、社会保険を自分で払うという経験が全くなかったので、そう言われて「ん??」と思いつつも、その時はそういうものなのかと思って「はい」と答え、契約書(派遣労働者労働契約通知書)を受け取りました。

※8月半ばからの勤務開始だったので、初回契約期間が2か月を切るのは理解できた。

2. 派遣社員の社会保険について詳しく調べた

ただ、数年前に別の派遣会社(大手派遣会社の系列)の派遣として働いた時、入社初日から社会保険に加入できていたことを思い返し、今回の扱いが疑問でネットで詳しく調べてみました。

ネット上で書かれていた見解は、おおまかに下記の2タイプに分類できました。

A. 「契約期間が2か月以内なのだから、その間の年金・健康保険代は自分で払う。更新後の次回契約分からは派遣会社の社会保険に加入できる」

→派遣歴が長い知り合いにも参考に聞いてみたところ、はじめ2か月社会保険に加入できないのは普通のことだと言っていました。

B. 「2か月経過した後も継続して雇用する見込みがあるのであれば、初回の契約スタート日から派遣会社の社会保険に加入できる」

→社会保険の加入対象については、厚生年金法第12条で説明されているようです。

この法律では、"2か月以内限定の雇用の場合は、会社は従業員を社会保険に入れてやる必要はない"ということを言っていますが、継続的に雇用する見込み・予定があるのに、初回の契約期間の短さでその間は社会保険に加入させないというのは、どうやらこの法律の趣旨とは違うようです。

ほかにもネット上には、”本来負担する分の費用を削減しようとしている派遣会社がある”、”所属会社を管轄する地域の社会保険事務所に相談してみてはどうか?” というコメントもありました。

3. 派遣会社に交渉した結果、最終的にどうなったか

以上のことを知り、このまま加入しないままは嫌だったので、気を奮い立たせて交渉することにしました。(幸いこの時点でまだ勤務開始前)

 

<やろうとしたこと>

■ 派遣会社の営業担当に「社会保険に入りたい」と伝える

■ 上記を断られたら、派遣会社を管轄する年金事務所に相談する。(どこの年金事務所も無料で相談を受け付けています)

<実際にしたこと>

①派遣会社の担当営業に、メールで「自分の場合長期前提の雇用だと思うので、社会保険に入りたい」と伝えた。

→すると担当営業から電話があり、"難しい"と言われる。(すぐ辞める人も居る中、入社当初から社会保険を適用すると費用を回収できないまま会社側の負担が増えるということも言っていました)

②電話で言われたことに対し、「色々法律について調べた。自分の場合長期勤務前提なので、社会保険には初めから入れると思う」「残業時間も多めの予定である一方、社会保険に入れないなら、派遣だから一段下に見られていると感じ勤務開始前からやる気が落ちる」と食い下がった。

→すると担当営業が再度社内に確認を取り(上司に相談した様子)、結果、勤務開始日から社会保険に加入できることになりました。

年金事務所に相談しには行かずに済みました

参考

東京都の年金事務所一覧:日本年金機構

4. 厚生労働省の見解(2020年7月追記)

この記事を書いた後、当時の派遣会社の仕事はやめて、また別の求人を探す際に同じ問題に直面しました。

そのたびに派遣会社に質問するのがいらいらしたので、2020年の6月初めに国(厚生労働省のHPの)に問い合わせ厚生労働省年金局事業管理課という所から返答をもらったので共有します。(回答の原文そのままです)

現在、厚生年金保険法及び健康保険法では、「二月以内の期間を定めて使用される者(引き続き使用されるに至った場合を除く)」は適用除外とされており、2か月以内の雇用契約であった方が、その期間を超えて継続して雇用される場合には、当初の雇用契約を超えた時から適用対象としているところです。

当該適用除外の取扱いについては、今般の法律改正(「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第40号)」の第4条)により見直しが行われ、改正法施行(令和4年10月1日)後は原則として、就業規則や雇用契約書等において、その契約が更新される旨が明示されている場合等は、最初の雇用期間を含めて、当初から厚生年金保険等の適用の対象となります。

なお、適用除外に該当するか否か、事業所が不当な取扱いをしているか否かについて判断するためには、雇用契約の内容など詳細な情報が必要となるところです。今回のようなご相談は年金事務所において匿名でお受けすることが出来ますので、お客様ご自身の社会保険の加入についてご相談を希望される場合は、当該事業所を管轄する(それが困難であれば最寄りの)年金事務所へ(お電話で結構ですので)ご相談くださいますよう、お願いいたします。

超要約すると、「令和4年の秋に改正法が施行されるので問題は解決するよ。でも現時点では社会保険に入れさせない事業所を取り締まれる法律にはなってないよ」ってことのようです。

(法律改正について詳しく知りたい方は、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要 (令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布 https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf のp.17 を見ると良いです)

2年ってだいぶ先なんですけど…。 →令和4年秋は間もなくです!

5. まとめ

派遣会社とは揉めたくないし交渉の手間もかかるので、気に留めず流そうかなと思いもしましたが、色々調べ問い合わせた結果加入出来たので良かったです。

もし同じような方がいて、私のように納得いかず社会保険に加入したいのであれば、かけあった方が良いと思います。

(※逆に"扶養を受けたいので入りたくない"、という方も居ると思います。その場合は加入条件を確認すると良いと思います。なおネット上の記事で「社会保険は遡って加入できる」との記載もあったので、就業開始後でも交渉は可能なのではと思います)

今回記事で例に挙げた派遣会社は、大手ではなく中堅的めの会社で、後々別のトラブルもあったりしてげんなりすることもありました。

もし時間に余裕があるのであれば、困り事の発生するような会社ではなく、初めからしっかりとした対応をしてくれる派遣会社を選んだ方が早いというのが正直な感想です。私の経験上、大手の派遣会社の方が案件も豊富ですし、色々整っていて働く上で安心度が高いです。

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